プロモーショナル・マーケティングとは

プロモーショナル・マーケティングの定義

プロモーショナル・マーケティングとは、ブランドの顧客開拓と維持のために、
特定化された市場における、生活者の購買行動を促進する活動である。 
また、その実現に向けた販売関与者* への販売動機づけ活動である。 

 (*販売関与者とは企業、小売業、卸売業およびそれらの担当者を指します。)

2019年、日本プロモーショナル・マーケティング協会は、デジタルテクノロジーの普及・進展によって大きく変化している生活者の購買行動に即して『プロモーショナル・マーケティング』の定義を見直し、上記の内容にアップデートしました。

具体的には、それまでの定義だった「直接的購買動機づけを中心とするマーケティング活動」から“直接的”を取って、プロモーショナル・マーケティングを、認知や体験も含めて、生活者を最終的な購買へと導く「購買促進のための総合的な機能」として再定義しました。

また、これに合わせて「プロモーショナル・マーケティング活動の領域」も見直し、マーケティングの4Pのひとつである「Promotion(販売促進)」にかかわる領域は、すべてプロモーショナル・マーケティングの活動範囲だと再定義しました。

具体的には「Promotion」の中の5つ領域であるPR、広告、生活者プロモーション、流通プロモーション、CRMにおいて、購買動機づけに関わるすべての領域で機能するとしました。プロモーショナル・マーケティングが扱う領域は幅広く、果たすべき役割も非常に大きいと言えます。

プロモーショナル・マーケティング活動の領域

購買行動プロセス「RsEsPs(レップス)モデル」とは

日本プロモーショナル・マーケティング協会が提唱する購買行動プロセスモデルです。

これまでも時代特性に対応した様々な消費者行動モデルがありました。代表的なものとしては、1920年代のアメリカで大量生産・大量消費を背景に、適切なタイミングで適切な情報を提供することの重要性に着目したサミュエル・ローランド・ホールによって提唱された「AIDMA」は、実に約100年にわたってマーケティングの世界で継承されてきました。

1990年代からインターネットが普及し、消費者の購買行動に影響を与え始めた2004年に、インターネット時代の購買行動モデルとして電通が提唱した「AISAS」が挙げられます。このモデルが「AIDMA」と大きく違う点は、購買行動プロセスの中にSearchとShareの2つのSが介在した点にあります。これが当時としては画期的な視点でした。興味を持ったらインターネットで商品情報や評判を検索する。さらに購買した後にも商品の評価や店の対応などをネットで発信したり共有するのが、消費者の一般的な行動として注目されました。

その後、インターネット環境の中で大きな変革が起こりました。2008年のiPhoneの日本上陸に始まるスマートフォンの急速な普及とSNSの進展です。これに伴い、消費者の間に、いつでも、どこにいても、スマホとともに行動し情報を受発信するという生活習慣が定着してきました。

その結果、商品を認知した後に、興味や関心をもてば、即座にインターネットや店頭で商品の特徴や価格を調べたり、売り場のツール類や販売員による推奨ワードなどによって理解を深め、購入者の評判も参考にしながら他社商品とも比較するなど、納得できるまでこれらの行動を繰り返し、ベストな選択であると判断して、初めて購入に至ります。このように購買行動のプロセスは複雑化する一方で、ネット上の検索・共有・拡散行動が加わることで、むしろ、よりスピーディになっています。

日本プロモーショナル・マーケティング協会では、この複雑化し多様化している購買行動プロセスを単純化し、大きく「認識(Recognition)」フェーズ、「体験(Experience)」フェーズ、「購買(Purchase )」フェーズの3つに区分しています。

  1. R(Recognition)「認識フェーズ」:「知る」ことで「興味関心」が生まれ、ブランドの「理解」にいたる段階。
  2. E(Experience)「体験フェーズ」:「理解」から実際に商品に触れてみるなどの「体験」を通して、ブランドへの「共感」が  生まれ購買への意欲が湧く段階。
  3. P(Purchase)「購買フェーズ」:購買するブランドを意思決定する段階。  

その上で、すべてのフェーズにおいて、検索(search)・共有(share)・拡散(spread)という3つの「s」が当たり前の行動として起こるようになり、これらを媒介として各フェーズ間を行きつ戻りつ態度変容しながら購買にいたるという行動特性に注目しました。

このように、より今日の生活者の購買行動の実態に合わせてモデル化したのが「RsEsPs(レップス)」です。

購買行動プロセス「RsEsPs(レップス)モデル」